関東1都6県、東北+北海道に引き続き、今回は九州+沖縄の公立高校入試制度について調べてみました。以前から知ってたんですが鹿児島は一般的な制度に比べてズレてます。あと情報をちゃんと公開してくれてないところもありますが、そういうところは制度がどうのとかそれ以前の問題です。
情報は全て平成31年度のものです。
関東や東北については以下の記事をご覧ください。


現時点(22都道県)のまとめ
一応、今回分までのまとめを載せておきます。

小さくて見にくい場合は以下のリンク先でどうぞ。
22都道県の調査書、学力検査の比率まとめ(Googleスプレッドシート)
福岡県の公立高校入試制度
福岡県は個性重視の特別入試、特色化選抜、推薦選抜、一般選抜の4つの選抜があるようです。特色化選抜は平成31年度からスタートしたっぽい?
一般選抜以外の選抜の細かい内容については置いておくとして、気になるのは定員に対してどのくらいの割合の合格者を出すのかというところなんですが、個性重視についてはよくわかりませんでした。30以上の高校の学科・コースで採用している選抜方法なので明確にしておいて欲しいところですね。
特色化選抜は平成31年度にスタートしたと思われるので、採用しているところは少ないです(下記画像参照)。

普通科でも面接だけで70%も合格させるところもあるんですが、調べてみるとそういうところはだいたい学力低そうなところですね。さもありなんといった感じですかね。
推薦については以下のようになっています。

これはわかりやすくするために一部スクショしたものです。こんな感じで推薦の募集定員と実施方法が書かれています。普通科の場合、募集定員は10~20%くらいのところが多いですね。選抜方法としては面接+作文が多いです。
肝心の一般選抜ですが、試験日は例年3月上旬のようです。ちなみに各選抜の試験なり面接日はそれぞれ異なりますが、合格発表は全て同日で例年3月中旬のようです。
一般選抜は下記画像のように受験者を調査書と学力検査の結果によってA群、B群と分けるタイプのようです。わりとよくみるタイプの選抜方法です。

評定で使うのは3年生のものだけのようですね。傾斜配点を採用する高校・学科・コースなどでは評定または学力検査の点を1.5倍にするようです。これも一般的な範囲ですね。
調査書と学力検査で入学者定員内に入っている受験生(A群)は原則合格。それ以外(B群)は総合的に判断して合格者を決定。これも一般的。ここで言う入学者定員と言うのは、おそらく全体の定員から他の選抜方法での定員を引いた数だと思います。
ここで重要なのは、A群を決めるのに使う調査書の内容が評定(9教科の成績)だけということですね。要するに部活動などの学習の記録以外の活動は一切考慮しないということです(少なくともこの文章はそう言ってます)。まぁ部活などの評価は特色化選抜や推薦など他の選抜で使うので、一般選抜では基本的には使わないってことでしょうね。
福岡は特に変わったところは無く良い意味で面白味にかけるところですね。
参考:福岡県ー高校入試
鹿児島県の公立高校入試制度
鹿児島県は主に推薦、一般の2つの選抜があります。以前、誰かがTwitterでツイートしてたように、サブ4教科を手厚く評価するシステムなので偏ってますね。調べ甲斐がありますw
まず推薦枠がどの程度の割合なのかですが、以下のような記述を見つけました。

普通科で10%以内、それ以外は30%以内みたいですね。
一般選抜で注目すべきは、すでに書いたようにサブ教科の扱いです。

まず、調査書の「学習の記録」で使うのは3年生の成績だけみたいですね。まぁこれはよく見ますね。
注目すべきは「学力検査を行う5教科は10点満点、学力検査を行わない4教科(音楽、美術、保健体育、技術・家庭)は100点満点とし、合計450点満点とする」という部分です。要するに主要5教科:サブ4教科=1:10ということです。サブ4教科が10倍も価値があるってことですね。
極端な例ですが、主要5教科が得意な生徒(A)とサブ4教科が得意な生徒(B)では調査書の評定を得点化すると以下のようになります。
英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 社会 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技家 | 合計 | |
A(換算前) | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 2 | 2 | 2 | 2 | 33 |
B(換算前) | 3 | 3 | 3 | 2 | 2 | 5 | 5 | 5 | 5 | 33 |
A(換算後) | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 40 | 40 | 40 | 40 | 210 |
B(換算後) | 6 | 6 | 6 | 4 | 4 | 100 | 100 | 100 | 100 | 426 |
どうでしょう。数値化するとめちゃくちゃわかりやすいですが、この制度だとサブ4教科で稼いだ方がラクなことが誰でもわかると思います。なんせ10倍の価値ですからね。
評定では主要5教科は50点満点、サブ4教科は400点満点ということですね。
学力検査は各科目90点満点で合計450点満点なので、学力検査と評定の比率は1:1です。これらをまとめると比率は以下のようになります。
学力検査:主要5教科:サブ4教科=9:1:8
主要5教科、サブ4教科という分け方で考えると以下のようになります。
主要5教科(学力検査+評定):サブ4教科(評定)=500点満点:400点満点=5:4
一見すると主要5教科とサブ4教科のバランスが取れてる感じがしますが、神奈川県の場合、この比率は約7:2です(学力検査:評定=4:4の場合で計算)。
比率を合わせると以下のようになります。
鹿児島)5:4=35:28
神奈川)7:2=35:10
鹿児島の方が神奈川県よりもサブ4教科が約3倍の価値があることになります。ですが、傾斜配点は各教科2倍までOKっぽいので、これを導入すると様子が変わります。
鹿児島)10:4=70:28
神奈川)7:2=70:20
鹿児島のサブ教科の価値が神奈川の約1.5倍まで縮みました。が、この資料を見る限り傾斜配点を行なっている高校はなさそうです。
ということは、やはり成績に関してはサブ4教科を頑張る方が良いという事ですね。これはおそらく、鹿児島県の中学生の間では常識となっていると思いますが、一般的な受験制度と比較するとズレてる気がしますね。
神奈川県では調査書(評定)と学力検査の比率を4:4や3:5など複数の比率パターンから各校が選択できるようになっています。学力重視の場合は2:6などを選ぶことができます。鹿児島ではそういう制度もなさそうです。
ということで、鹿児島は一般的な受験制度からズレてますね。それがどういう影響を及ぼすのかについて少し調べてみましたが、2018年の小・中学生の学力調査では鹿児島は以下のように47都道府県中44位でした。

宮崎県以下の府県はここを書いている時点で、高校入試制度を調べてないところ何ですが、何かしら特徴があるのかもしれません。調べるのが楽しみですね。
参考:鹿児島県の高校入試情報
宮崎県の公立高校入試制度
えー、いきなりですが宮崎県は行政がクソですw
私が必要としてる資料がほぼ見当たりませんでした。かろうじてわかるのは、推薦・スポーツ推薦、一般という主に2つの選抜方法があることと、推薦の定員がどのくらいなのかってことだけです。

一般選抜の選抜方法に関する記述で学力検査や調査書をどう評価するのかを説明する部分は以下の部分だけでした。

これだけじゃ、どうやって選抜するかさっぱりわかりません。その気になれば、採点者や面接官のさじ加減でどうにでもなりそうですw
これはある意味、鹿児島よりもドイヒーですね。
ちなみに、資料pdfをブラウザで開くとわかりますが、pdfのメタデータのタイトル属性が「平成12年度」となってます。ここから推測するに、資料は平成12年度の使い回しで、基本的にはほとんど変更してないんじゃないかと。
宮崎県はちゃんとした方が良いですよ。マジで。
参考(にならないけど):宮崎県ー高校入試情報
熊本県の公立高校入試制度
熊本はまともでした。前期(特色選抜)と後期(一般選抜)の主に2つの選抜があるようです。
前期(特色選抜)の募集定員は最大で全体の50%とやや多めですね。この資料を見ると普通科で特色選抜を行うところはなさそうです。それ以外だと50%まで選抜してるところも多いですね。
一般選抜ですが、福岡と似てます。まず、以下の図をご覧ください。

募集定員が200人の場合の例ですが、要するに学力検査と評定の両方の順位で、定員数以内に入っていれば合格となります。この方式はごく一般的ですね。
それでも募集定員に達しない場合は各校が定めた選抜基準にして合格者を決めます(参考資料)。
学力検査や調査書(評定)の評価方法ですが、これも明確な記載がありました。



調査書点は以下のように計算します。
まず、学力検査についてですが、各教科50点満点で評価するようです。調査書は各教科ごとに「別表」を用いて数値化します。
例えば数学の成績が以下のような場合を考えます。
- 第1学年:4/5
- 第2学年:4/5
- 第3学年:3/5
4+4+3×2=14
学力検査の結果が30/50点の場合、別表から14点となります。「別表」から判断するに、成績が同じでも学力検査の結果が良い方を高得点とするってことですね。これはまともな制度だと思います。
この作業を各教科で行なって合計した点を調査書点とし、受験者内での順位をつけ、最初の図の横軸の値(評定)とします。
縦軸は学力検査の合計点をそのままプロットする感じですね。
熊本は福岡と同じ感じでまともですね。資料もちゃんとしてるし。
参考:熊本県ー高校入試情報
長崎県の公立高校入試制度
長崎、お前もか。
長崎も必要な資料が見当たりませんでした。県の資料を見ても調査書、学力検査をどう評価して合格者を選抜するのか全くわかりません。一般選抜の選抜方法に関する記述は以下の部分だけです。

長崎は島が多いので「離島留学特別選抜」という制度が特徴的ってことくらいしかないですね。推薦枠がどのくらいとかも調べる気がなくなりました。
ということで長崎はこれで終了です。
参考(にならない):長崎県 ー高校入試情報
佐賀県の公立高校入試制度
佐賀県は最高でした。素晴らしい。神。
選抜方法は特色選抜、一般選抜の主に2つあるようです。特色選抜の定員割合については各校で定めるタイプのようです。

どこもだいたい20%以内のようですね。この表を作成して公開してくれているところは最高です。
続いて一般の方です。

こんな感じで各校が定めています。ほとんどのところが学力検査:調査書+面接=5:2くらいですね。面接は5点とか10点などほぼ意味ないところもありますが30点、50点など重視してるところも結構あります。
いやー、こういう資料出してくれてるところホントに大好きです。これ見れば入試制度の核が丸わかりですからね。
参考:佐賀県ー高校入試情報
大分県の高校入試制度
大分県は推薦と一般の主に2つの選抜方法があるようです。推薦についてはさらにいくつか方式が分かれていますが、普通科の募集人数は定員の20%です。
一般選抜については、まず学力検査が各教科60点満点となっています。さらに学力検査と調査書の比率が各校で下記のように決まっているようです。
例えば中津南の場合、調査書:学力検査=3:7なので調査書はだいたい130点くらいですね。
これで調査書と学力検査の比率はわかりましたが、調査書の中で評定がどう評価されるのか、それ以外がどう評価されるのかについて具体的にはよくわかりませんでした。かろうじてわかる部分は以下のところのみ。

これを読んでもよくわかりません。「換算点」とあるからには何かしら換算方法が決まってると思われますが、それらしい記述は見つけられませんでした。
ということで大分県はここまで。
参考:大分県ー高校入試情報
沖縄県の公立高校入試制度
沖縄県は主に推薦と一般選抜の2つあるようです。推薦の募集人数は普通科で20%以内です。
一般選抜についての学力検査と調査書の比率は以下のように原則として5:5と決まっているようです。ただし校長の権限で変更できるらしい。

沖縄に関しても調査書点をどうやって選抜に使うのかについて具体的な情報は見つかりませんでした。こういう場合は基本的には主要5教科とサブ4教科を同等に扱うっぽいですけどね。
ちなみに沖縄も学力検査は各教科60点満点です。
参考:沖縄ー高校入試情報
まとめ
今回調べた中では圧倒的に鹿児島の制度がズレてますね。良いか悪いかは置いといて。あと、宮崎と長崎はちゃんと資料を公開してほしいですね。九州、沖縄の各県は佐賀県を見習ってほしいです。
これまで関東1都6県、東北6県+北海道、そして今回の九州7県+沖縄と調べてきましたが、制度として一番ズレてるのは鹿児島ですね。なぜこういう制度になったのか気になりますね。あと、ちゃんと情報を公開してないところも多いのでちゃんとしてほしいですね。そこらへんの塾の方がわかりやすい情報出してますよw
これで47都道府県中22都道県が終わりました。やっと半分。
神奈川県公立高校入試、都立高校入試、大学入試で個別指導20年、オンライン指導9年の私がマンツーマンで丁寧に指導します。
- 対象学年:中学生、高校生、浪人生
- 指導科目(高校):数学、物理、大学受験指導
- 指導科目(中学):数学、理科、高校受験指導
- 指導形態:SkypeまたはZoomによるオンライン指導
- 指導曜日・時間:要相談
- 料金:1時間7,000円(税別)
- 体験指導:60分(ヒアリング含む)
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