東北の6県+北海道の公立高校入試制度を比較してみました。とりあえず秋田県はちゃんと資料作って公開して欲しいですね。宮城県や岩手県を見習って欲しいところ。制度がシンプルでわかりやすかったのは山形県。学力検査が各教科60点満点なんていうところもありました。
情報は全て平成31年度のものです。
福島県の公立高校入試制度
福島の公立高校入試は1期選抜、2期選抜、3期選抜に分かれてるんですが、それぞれ以下のような特徴があります。
試験日 | 定員に対する割合 | 調査書 | 学力検査 | 面接 | 小論 | |
1期選抜 | 1月下旬 | 10~40% | ○ | ○ | △ | |
2期選抜 | 3月上旬 | 60~90% | ○ | ○ | △ | |
3期選抜 | 3月下旬 | ー | ○ | ○ | ○ |
1期選抜は調査書と面接のみで合格者を決める選抜ですね。2期選抜がいわゆる一般入試。3期選抜は定員割れの補充。
1期選抜での募集人数(定員に対する割合)は各校が10~40%の間で自由に決められるようです。2期選抜で残りの分を決める感じ。面接は基本的に全ての選抜で行われ、1期選抜では小論があるところもあるようです。3期選抜は小論も全員やるみたい。
調査書の点数化もちゃんとしてるのでわかりやすいです。
1期選抜では以下のように書かれています。
9教科の成績は全て同じ比率で計算され、3年間(学年末の成績)の合計135点満点で計算されるってことですね。9教科の成績以外の部分、例えば部活なども高校側の判断で点数化できるようですが、MAX何点とか書いてないのでよくわかりませんね(各校の資料に記載があったので後述)。
面接と小論についても点数化の説明はないので不明瞭です(同様に後述)。
2期選抜はこんな感じ。
9科目の成績は以下のように計算されます。
3年間の合計 + サブ4教科の3年間の合計×2(195点満点)
内訳は主要5教科は25点×3年=75点満点、サブは20点×3年間+20点×3年間×2=120点満点ということになりますね。いわゆるサブ教科重視型の制度ですね。東京都は主要5教科とサブ4教科の比率は1:2なので、それよりもさらにサブ教科を重視してるということです。
2期選抜についても面接点の数値化は明文化されてません。
3期選抜については省略。
福島高等学校の募集内容を見てみましょう。
見にくいですが、募集定員は10%、調査書の9教科以外の部分の点数は55点満点と書いてありますね。面接や小論については点数化するとは書いてありますが、何点満点かは書いてないですね。
次は2期と3期。
傾斜配点なし。調査書は9教科の成績が195点、それ以外で55点の250点満点。学力検査と調査書の比率は1:1です。学力検査250点満点、調査書250点満点、面接なしのシンプルな形ですね。わかりやすい。
磐城高校はイカツイですw
「学力検査の成績を5倍する。」
しかも。調査書の9教科以外は関係ないぞ、とも書いてありますね。実質、入試の学力検査一本ってことですね。私はこういうところ好きですね。わかりやすいので。調べてみたら、やはり学力高い高校みたいですね。県内でもTOP5に入るところっぽいです。どの都道府県でも学力高いところはだいたいこんな感じですね。
宮城県の公立高校入試制度
まず、最初に言っておきたいのは宮城県の資料は他の県の資料に比べてめちゃくちゃ見やすい&わかりやすいです。これを作った人は優秀。サンキュー担当者の人。
宮城県は前期と後期、二次募集に分かれているようですね。
試験日 | 定員に対する割合 | 調査書 | 学力検査 | 面接 | 小論 | |
1期選抜 | 1月下旬 | 10~30% | ○ | 3教科 | △ | ○ |
2期選抜 | 3月上旬 | 70~90% | ○ | 5教科 | △ | △ |
3期選抜 | 3月中旬 | ー | ○ | ○ | ○ |
*募集人数(定員に対する割合)は普通科のものです。
具体例を見てみましょう。白石高校の例です。
小さすぎて見えないと思いますが、詳細は最初に貼ったリンク先を見てください。
白石高校・普通科の前期選抜をまとめると以下のようになります。
- 募集定員:30%
- 調査書:225点満点
- 学力検査:3教科(英国数)300点満点
- 面接:なし
- 作文:75点満点
- 合計:600点満点
めちゃくちゃわかりやすいし明確。他のところもこれくらい明確にしておいて欲しいですね。
面白いのは出願資格。3年間の全教科の評定平均が4.2以上じゃないと出願できないようです。大学の指定校推薦みたいですね。この制度はどこの高校にもあるようなので、宮城ではこれがスタンダードっぽい。前期は真面目で成績優秀な生徒を中心に選抜するってことですね。
後期の選抜方法も明確。傾斜配点なし、面接なし、調査書:学力検査=3:7。高校ごとに比率が違ったり出願資格が異なったりと複雑ですが、この資料を見ればどの高校でも選抜方法が丸わかりですね。素晴らしい。
ちなみに2次募集は定員割れの補充なので説明は省略。
山形県の公立高校入試制度
山形県は主に推薦選抜(2月上旬)、一般選抜(3月上旬)の2つですね。他のところと同じで連携型選抜(中高一貫に通っていて、高校から公立に通いたい人向けの選抜)もありますが、少数派だと思うので省略します。
まず推薦ですが、普通科は募集してないようです。それ以外の募集定員は科によって異なります。例えば、理数科は30%以内、音楽科は50%以内、スポーツ科は70%以内。
推薦の資料を見て見ましょう。
どこも調査書、面接、作文or適性検査はあるようです。他の学区のも見てみると基礎学力検査を課すところはないですね。特に変わったところはなさそうなので推薦はここまで。
一般選抜は調査書、学力検査、面接で合否を決めるようです。面接は全員やるみたいですね。評定は第3学年のものだけを使うパターン。いいですね。調査書の点数は以下のように計算します。
評定は500点満点に換算されます。調査書と学力検査の比率が3:7, 4:6, 5:5, 6:4, 7:3の中から各校で決められている形式ですね。調査書と学力検査の合計が500点満点で計算されます。傾斜配点は1教科か2教科。評定と学力検査の得点化はわかりやすいですね。
それ以外の面接や調査書の評定以外の項目については点数化するとは書いてないので、よくわかりません。この辺りは不明瞭ですね。
山形県は制度自体はシンプルですが、やや不明瞭な部分があるって感じ。
参考:山形県ー高校入手情報
秋田県の公立高校入試制度
秋田の選抜方法は主に前期選抜と一般選抜の2つです。前期があるのに後期はないのでこの時点でわかりにくいw
試験日 | 定員に対する割合 | 調査書 | 学力検査 | 面接 | 小論 | |
前期選抜 | 1月下旬 | 15~30% | ○ | 3教科 | ○ | |
一般選抜 | 3月上旬 | 70~90% | ○ | 5教科 | ○ | △ |
まず前期ですが、定員に対する割合は各校が自由に決められるようです。公開資料には特に上限も書いていないのでやろうと思えば100%でもいいってことでしょうかね(多分、決まってるけど資料で明文化してないだけっぽいけど)。上記表にある定員に対する割合は私が資料別表1にある各校の募集定員から割り出した値です。20%、30%のところが多いですね。
前期選抜では学力検査or口頭試問をやることになっていますが、これも資料を見る限りではほとんどのところが学力検査をやることになっています。口頭試問やる全日制は48校中わずか1校。作文を課すこともできますが、これもわずか1校。というか、口頭試問と作文は同じ高校です(太田分校)。分校なのでって感じですかね。
前期選抜の学力検査は英国数の3教科です。難易度は一般選抜と比べてやや簡単ですね。面接は必ず行うようです。
公開資料では調査書や学力検査、面接など選抜に使う資料の点数化について一切触れてないんですよね。かろうじて見つけられたのはこれ。
エが実際に選抜するときに使われると思われます。ここから読み取れるのは、9教科の成績は3年のものだけ使うことと主要5教科:サブ4教科=1:2ということです。サブ4教科重視型ですね。この比率は東京都と同じです。
ここから計算してみると主要5教科(5×5=25点)+サブ4教科(5×4×2=40点)で合計65点満点ということですね。
で、この評定を実際にどう使って選抜するか何ですが、いまいちよくわかりませんでした。ということで前期選抜はここまで。次は一般選抜ですが、こちらも重要な情報はあまりなかったです。秋田県ちゃんとして欲しい。
どうやら一般選抜では以下のような相関表を使うようです。
網かけの範囲は各高校で定めると書いてありますが、各高校がどういう範囲を定めてるかという資料は見つかりませんでした。試しに花輪高校のホームページを見てみましたがやはり見つからず。こういうのは良くないですね。ちゃんとわかるように公開して欲しいところです。
何も書いてない以上、調査書点や学力検査の点数はそのまま表にするってことですかね。例えば調査書点はMinが13(オール1)でMaxが65、学力検査はMinが0でMAXが500?。ただ、公開資料には学力検査が各教科100点とか書いてないんですよね。まぁ問題見たら100点満点だったので5教科で500点満点ということだと思いますが。
秋田県は資料が適当すぎるのでここでランボー怒りの終了。
岩手県の公立高校入試制度
岩手県の選抜方法は主に推薦と一般の2通り。資料もわかりやすかったです。
試験日 | 定員に対する割合 | 調査書 | 学力検査 | 面接 | 小論 | |
推薦選抜 | 1月下旬 | 10% | ○ | ○ | △ | |
一般選抜 | 3月上旬 | 90% | ○ | 5教科 | ○ | △ |
まず推薦ですが、定員に対する割合は普通科で10%以下です。そのほか体育系や芸術系は50%以下です。学力検査はなし。面接あり。そのほかに小論や作文、適性検査を課すところもあるようです。
推薦選抜に関しては調査書や面接などを数値化して扱うというような説明は書かれていないので、具体的にどのように選抜されるのかは不明です。体育系や芸術系はともかく普通科はどうなんでしょうね?
一般選抜は明確です。
学力検査、調査書、面接の数値化については見ての通りです。面接は全体の6%の得点なのでほぼ意味ないですね。調査書の得点は1年:2年:3年=1:2:3という珍しいタイプですね。しかもちょい複雑で、各学年で主要5教科とサブ4教科の比率が微妙に違います。が、一番下の表にわかりやすいようになっているので素晴らしいですね。
主要5教科とサブ4教科で分けてみると、主要5教科(300点満点):サブ4教科(360点満点)なのでほぼ1:1ですね。
数値化はこれでいいんですが、そのあとの選抜方法もやや複雑です。
まず、各高校は一番下の表にある7つの選抜方法から1つを選びます。例えば②の高校の場合、上記のA選考で定員の70%合格→B選考で残りの30%合格という流れで選考が行われます。
A選考は学力検査と調査書の比率が5:5なので同等に評価する選考方法ですね。B選考は3:7なので調査書重視の選考方法です。
岩手県は教育員会側でガイドラインを定め、高校側の裁量は小さいタイプの制度ですね。私としてはこのほうがシンプルでわかりやすいと思います。資料もわかりやすいし明確なので素晴らしいですね。
参考:岩手県教育委員会
青森県の高校入試制度
青森県は主に一般選抜と特色選抜の2つの選抜方法ですね。岩手県の場合と違って、各校で選抜方法をある程度自由に決められるタイプです。具体例を見た方がわかりやすいので、青森高校の例を見てみましょう。
まず募集人員ですが、青森高校の場合は一般選抜が70%で特色選抜が30%ですね。普通科の場合、一般選抜の募集人員は70~90%のところが多いようです。
学力検査と調査書点は明確になってますね。調査書の評定が135点となっていることから各学年の評定の合計をそのまま使うと思われます。それらを1群、2群、3群に分けて合否を決めるようです。実際の合否は一般的な選抜方法通り、学力検査の点数と評定だけではなく、調査書の評定以外の部分、面接も含めて総合的に判断するようですが、まぁ1群、2群の人がほとんど合格するんじゃないでしょうかね。
面白いのは面接内容まで細かく公開しているところです。他の都道府県ではここまで公開してるところはあまりないですね。
ここまで明確になってるとわかりやすくていいですね。今回の中では岩手県の次に良いですね。
参考:青森県教育委員会
北海道の公立高校入試制度
北海道は主に推薦選抜と一般選抜の2つです。推薦については特筆すべきところはあまりないですが、普通科は募集定員の20%以下(募集人員が120人以下の場合は30%以下)みたいですね。
推薦選抜は2月中旬、一般選抜は3月上旬に試験が行われます。
推薦については省略するとして一般を見ていきましょう(決して手抜きではないw)。重要なのは調査書(評定)と学力検査、面接をどう得点化するのかです。
これをみると学力検査は300点満点、評定は315点満点で計算するようです。公開資料によれば学力検査は各教科60点満点、合計300点満点みたいです。中途半端な気がしますね。
また各教科の評定については以下のような記述がありました。
1年、2年の成績を2倍(45×2+45×2)+3年を3倍(45×3)=315ってことですね。これを見ると、学力検査の点数はこの数値に合わせたような感じがしますね。これならだいたい同じくらいの数値になりますからね。
面接の数値化については特に言及がないのでわかりませんでした。
一般選抜の方法は以下のように行われるようです。
定員の70%は調査書と学力検査を同等に扱う(315点満点:300点満点)というのはわかりやすいですが、調査書重視と学力検査重視についてはこれを読む限り、どういう比率なのかわかりませんね。公開資料を見ると各校で定めると書いてるので、各校の情報を見ないといけないっぽいです。
わかりやすい一覧表がありました。
小さくて見辛いですが、例えば岩見沢東では学力検査の成績を重視する方は学力検査:評定=10:0として計算するようです。学力全振りですねw
同様に個人調査書を重視する方は評定:学力=6:4となってます。調査書の評定以外は使わず、また面接も行わないことがわかります。
札幌高校では調査書重視で評定:学力=10:0なので岩見沢東とは真逆で、成績重視ですね。
ということで、北海道もまぁまぁわかりやすかったですね。
参考:北海道教育委員会
まとめ
今回は東北6県+北海道でしたが、公開資料がわかりやすかったのは宮城県と岩手県ですね。他の県はぜひ参考にして資料を作って欲しいと思います。一方で制度がシンプルだったのは山形県ですね。
選抜方法については前回の関東1都6県の内容と合わせてみると高校入試制度の全貌が徐々に見えてきました。まず大きく分けて、教育委員会でガイドラインを決めて各校がその枠内で選抜するタイプと、各校にある程度の裁量権を与えて自由にやらせてるタイプの2つに分けられます。
各校に裁量が与えられている県では、早い時期から入試制度を理解しておき受験校を考えておかないと取り返しのつかないことになる場合もありそうです。例えば、宮城県では出願条件に3年間の評定平均の項目があるので、これをクリアできないと前期は主要5教科とサブ4教科のそもそも出願できません(後期は受けれますが)。
あとは調査書(評定)、学力検査の比率と評定の主要5教科とサブ4教科の比率の違いですね。主要5教科とサブ4教科の比率が同じところと、そうじゃないところでは学生の勉強スタイルにも違いがありそうです。
関東1都6県の公立高校入試制度については以下の記事をどうぞ。
神奈川県公立高校入試、都立高校入試、大学入試で個別指導18年、オンライン指導8年の私がマンツーマンで丁寧に指導します。
- 対象学年:中学生、高校生、浪人生
- 指導科目(高校):数学、物理、大学受験指導
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