雑記

エビングハウスの忘却曲線は間違った使われ方をしている

間違っている忘却曲線

学校や塾でよくエビングハウスの忘却曲線の話をされると思いますが、間違って使われていることも多いんですよね。暗記の仕方とか復習の重要性を説明したり生徒に勉強させようとするあまり、間違った解釈をそのまま流用してることがほとんどです。今回はその間違いを正しておきたいと思います。

よく見る忘却曲線

忘却曲線といえば、覚えたことをどれくらいの速さで忘れてしまうかを示したグラフとして説明されることが多いと思います。

間違っている忘却曲線

よく見るのはこれですよね。だいたい数値もこんな感じになってると思います。

横軸に時間、縦軸に忘却率になってます。塾に入る際に「1日たつと66%忘れちゃうんだ。だから復習は大切なんだよ。」と説明されるやつですね。

復習が重要なのは確かですが、この忘却曲線に関する解釈は間違ってます。何が間違っているかというと、縦軸です。この忘却曲線の元ネタでは縦軸は忘却率ではありません。

 

元ネタはエビングハウスの忘却曲線

上記のグラフは、19世紀ドイツの心理学者エビングハウスが行った記憶に関する実験の結果を表すグラフです(グラフは私が作成)。

間違っている忘却曲線、バツ

 

もともとエビングハウスが行った実験では、縦軸は節約率を表しています。

節約率というのは、例えば、最初にsibという音節を覚えるまでに10分かかったとします。同じsibを20分後に覚え直したときに4分かかったとすると、この場合、覚え直すのに最初と比べ6分節約したことになります。すると節約率は 6(節約された時間)÷10(最初に要した時間)=0.6= 60% となります。

これはつまり、100個の単語を覚えたあと24時間が経過すれば、そのうちの74%に相当する74個の単語を忘れている、という意味ではないということです。この数字を普通に考えればそらそうだろって感じですが、中には納得感がある数値に変えてる場合もあります(悪質w)。

 

また、上述のように、エビングハウスが行った実験は「子音・母音・子音」の3つのアルファベットからなる無意味な音節を記憶するものでした。ここも重要。勉強で覚えるものとは質が異なるので、この忘却曲線をそのまま適用できないというのは誰が考えても明らかです。

ちなみにエビングハウスは最終的に約2400の単語を使いこの実験を行ったようです。もちろん全て無意味な音節です。

 

すでにおわかりの通り、学校や塾で説明される忘却曲線の説明は間違ってます。「なんか良い感じの事を言いたい」「入塾させたい」と思うあまり、間違った説明を使ってるんですよね。誰が最初にこれを使い始めたのかわかりませんが、いつの間にかそれが広まったって事です。

でも復習は重要なので、その点は間違ってないです。復習の仕方について詳しく解説した記事があるので、勉強してるのに点数に結びつかないって人は以下の記事を読んでみてください。

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