6月5日に政府から骨太の方針2018の原案が公表されました。資料によれば、低所得層の学生は、国立大の授業料を全額免除されるようです。また私立大でも授業料を減額される模様。原案を読み解いて、今後の日本の教育がどうなるか考察してみました。
無償化の対象範囲
原案を読んで、表を作ってみました。参考:平成30年第8回経済財政諮問会議
無償化は3段階に分かれているようです。
3分の2とか3分の1というのは年収270万円未満の場合の減免額を基準にした値です。
年収270万円未満、私立の授業料の免除額が約70万円になっているのは、原案の以下の部分を具体的な数値に置き換えて計算しました。
私立大学の場合は、国立大学の授業料に 加え、私立大学の平均授業料と国立大学の授業料の差額の2分の1を加算した額まで の対応を図る
要するに、「私立の授業料減免額=私立の平均授業料ー国立の授業料/2」で計算しろってことです。私立の平均授業料は90万円ちょい、国立は50万円くらいなので、そこから計算するとだいたい70万くらいとなります。
給付型奨学金については食費や通信費など、おおよそ学生生活に必要だと考えられるものを幅広くカバーしているようです。ただ、年収300万円未満、年収380万円未満、については明確には書かれていないのでどこまでカバーされるのかよくわかりませんでした。
支援対象者の要件
支援を受けられる条件はざっくり以下の項目でまとめられます。
- 高校在学時の成績だけで判断しない
- 大学入学後は毎年、年間で必要な単位数の6割以上取得すること
- GPA(平均成績)で下位4分の1以上
高校在学時の成績だけで支援を受けられるかどうか判断せず、レポートや面談なども含めて学習意欲を確認するみたいです。これは良いかもしれませんね。
高校の時点で経済的な理由によって成績が悪くなっている人もいるはずなので。
単位やGPAの条件は当然ですが、一発でアウトというわけでもなさそうです。
大学等から警告を行い、警告を連続で受けたとき、退学処分・停学処 分等を受けたときは、支給を打ち切る。ただし、成績が下位4分の1に属するときに 警告を連続で受ける場合においても、斟酌 しんしゃく すべきやむを得ない事情がある場合の特例 について検討を行う。
さらに、休学してから復学しても支援を再開してもらえるようです。
なお、手続を経て休学する場合には、いったん休止した支援を復学の際に再開する ことができるようにする。
支援措置の対象となる大学等の要件
大学側にも条件があるようです。
実務経験のある教員(フルタイム勤務ではない者を含む。)が卒業に必要な単位数 の1割以上の単位に係る授業科目を担当するものとして配置され、学生がそれらを 履修できる環境が整っていること
理事に産業界等の外部人材を複数任命していること
法令に則り、財務情報と教育活動(定員充足、進学・就職の状況)に係る情報を含 む経営情報を開示し、多くの国民が知ることができるようホームページ等により一 般公開していること。
定員割れしてたらダメとかは書いてないですね。実務経験のある教員を一定数入れないといけない、理事に産業界等の人材を複数任命しないといけない、というのは産学連携を推し進めようというあらわれですね。
あとは、情報公開をもっとやっていこうって感じですね。これは学生側にとっては良いことです。
中間所得層に対する支援
低所得層ばかり手厚くなるのはいかがなものかという意見もあるようで、中間所得層(年収380万円以上)に対してもなんらかの支援を行おうという検討はされているようです。
いわゆる出世払いみたいなものが提案されていましたが、今回の原案にはそのワードはないですね。反発されたので様子見ってことですかね。
疑問点
3つ疑問点があるのでまとめておきます。
- いつスタートするのか?
- 上記の条件に当てはまるなら全員が支援を受けられるのか?
- 私立の場合、学部によって授業料に大きな差があるが機会均等とは言えないのでは?
原案をみる限り、いつスタートするのか書かれていません。2020年からという報道もありますが、これは待機児童問題の解消に関する部分と混同した?のではないかと思います。
また、支援額の総額についても触れられていません。仮に条件を満たした10万人の学生が支援を受けたいと言ったら、その全員が支援を受けらるのでしょうか。それとも、予算の許す範囲での支援ということなのでしょうか。
普通に考えたら後者なんですが、だとすると一見良さげなこの案も、何人支援を受けられるのかで大きく評価が変わりそうです。
蓋を開けて見たら100人単位でしか支援を受けられませんでした、みたいなことにならないといいですけど。
授業料免除額が私立の平均額だと学費がバカ高い私立医学部は諦めなければならなくなりそうです。文系理系でもちょっと差があります。このあたりの調整はどのようになされるのかも気になります。
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