学費・奨学金

東京大学の奨学金、授業料・入学料減免制度まとめ(主に学部生、新入学者向け)

東京大学の奨学金や学費減免制度についてまとめました。公表資料をもとにして重要ポイントを箇条書きにしてあります。東大を受験する方は参考にしてみてください。

各制度における申請資格の中にある「高校卒業または見込み」のような基本的にクリアできる、しているであろうものは省略しました。

詳細は各項目にあるリンク先をご覧ください。

 

2020年からスタートする「大学無償化」についても調べたので合わせてご覧ください。

「大学無償化」は2019年の大学受験生から利用できるよ。

1 奨学金

東大の学部生向けの奨学金は主に以下の3つです。

  • 東京大学学部生奨学金
  • 東京大学さつき会奨学金(予約型奨学金)
  • 東京大学さつき会奨学金(島村昭治郎記念口)

東京大学学部生奨学金は最も一般的な奨学金です。下の2つは名称が似ているのでややこしいですが、微妙に違います。

 

1-1 東京大学学部生奨学金(高校予約型)

  • 必須条件:学部1年生に入学予定の人
  • 必須条件:調査書の学習成績概評がA以上の人
  • 必須条件:大学進学において経済的支援が必要な人(*1)
  • 出願前に申請が必要
  • 学部生であればOK
  • 年額50万円(返還義務なし)
  • 支給期間:入学後1年間
  • 採用予定者2名(*2)
  • 申請期間:1月下旬〜2月上旬
  • 書類審査のみ
  • 他の奨学金と併用可

*1:「所得が〇〇万円未満」など明確な基準は記載されてない。
*2:年度によって3名の場合など若干増減がある。

この奨学金は東大の中では最も一般向けの内容だと思います。「経済的な支援が必要」というのがどのくらいなのかホームページを見てもよくわからなかったのですが、下記の2つの奨学金と同様だと考えればいいかもしれないですね。出願前に予約が必要というのも注意が必要ですね。

支給金額が入学後1年間というのが気になります。それ以降はもらえないということでしょうか。他の奨学金と併用できるのはGood。

東京大学

 

1-2 東京大学さつき会奨学金(予約型奨学金)

  • 必須条件:学部1年生に入学予定の女子
  • 必須条件:入学後に自宅外から通学せざるをえない人
  • 必須条件:調査書の学習成績概評がA以上の人
  • 必須条件:日本学生支援機構第1種の家計の推薦基準に準ずる人
  • 必須条件:入学後にさつき会の活動に積極的に参加できる人
  • 出願前に申請が必要
  • 月3万円(返還義務なし)
  • 支給期間:4年間(6年制の課程は6年間)
  • 採用候補者数:約15名
  • 申請期間10月下旬〜11月上旬
  • 書類審査のみ
  • 他の奨学金と併用可
  • 平成34年度でこの奨学金は終了

 

こちらは女子向けの奨学金ですが、新入学生用の奨学制度です。ポイントは第1種の家計ということと、出願前に申請が必要というところですね。

日本学生支援機構第1種の家計基準は以下の通りです。

東京大学HP

日本学生支援機構

 

1-3 東京大学さつき会奨学金(島村昭治郎記念口)

  • 必須条件:本学の女子学生
  • 必須条件:教養学部前期課程2年次に進学予定の人(現1年生)
  • 必須条件:自宅外から通学せざるをえない人
  • 必須条件:授業料免除の学力基準に準ずる人
  • 必須条件:日本学生支援機構第2種の家計の推薦基準に準ずる人
  • 必須条件:入学後にさつき会の活動に積極的に参加できる人
  • 月3万円(返還義務なし)
  • 支給期間:学部2年次~4年次(6年制課程の場合は学部2年次〜6年次)
  • 申請期間:10月下旬~11月上旬くらい
  • 書類審査&面接
  • 他の奨学金との併用可

 

さきほどのものと名前が似てます(というか同じです)が、こちらは2年次以降の学生向けの奨学制度です。わざわざ分ける必要あるのかと思いますが、こちらの方が家計基準が若干ゆるいです。

日本学生支援機構第2種の家計基準は以下の通り。

 

2 授業料の免除・徴収猶予

奨学金以外にも授業料の免除・徴収猶予があります。ちなみに東大の学部授業料は年額535800円です。

ここより下の内容についてはこの辺りを見るとわかります。東京大学(授業料・入学料申請関係書類一覧)

 

2-1 申請資格

以下のいずれかに該当する人

  1. 学業優秀と認められる人で、経済的理由により入学料の納付が困難である人
  2. 入学前の6ヶ月以内において、申請者の学費を主に負担している人が死亡し、入学料の納付が困難である人
  3. 入学前の6ヶ月以内において、申請者または学費負担者が風水害等の災害を受け、入学料の納付が困難である人
  4. その他、やむを得ない事情がある人

学力の基準は後ろで述べてあります。

 

2-2 特記事項・注意事項

  • 申請書の配布期間、配布場所、申請期間は学部などによって異なるので注意
  • 留年したらダメ
  • 家計基準が218万円より多い場合は半額免除
  • 家計基準が218万円以下の場合は全額免除されることもある
  • 予算の許す限り免除するらしいので対象人数は毎年異なる模様(具体的な人数は不明)
  • 申請者は毎年2000人以上いるっぽいのでけっこう倍率高そう

公表されている資料では実際に減免される人数が明記されてないのが微妙ですが、申請者は2000人以上いそうなので倍率が高そうです。

 

2-3 学力基準

学力基準は学部とそれ以外で異なります。

学部

  • 新入学者は入学試験の合格をもって適格とみなす(つまり、合格すればOK)
  • 新2年次、新3年次、新4年次に在籍する人はそれぞれ学部での成績基準が設けられている

 

修士課程、博士課程、専門職学位課程

  • 各研究科において、成績および研究業績が優秀と認められる人

 

学力基準がこれだけなので、合格者なら誰でも申請できますね。あとは家計評価額の順で決めていく感じでしょうかね。

 

2-4 家計基準

以下の計算方法により、家計評価額が0円以下になればOK。

家計評価額 = 総所得金額 ー 特別控除額 ー 収入基準額
(総所得金額 = 給与所得 + その他の所得)

 

2-4-1 給与所得の計算方法

給与所得 = 給与収入(税込) ー 控除額

 

例えば給与収入が250万円の場合

控除額 = 250万×0.3 + 62万円 =137万円
給与所得 = 250万円 ー 137万円 =113万円

 

2-4-2 特別控除額

A 本人を対象とする控除

学部学生・大学院生

  • 自宅通学者280,000円
  • 自宅外通学者720,000円

*自宅通学者とは父母等と同居し、通学している人のこと

 

B 世帯を対象とする控除

 

・母子・父子世帯:490,000円

*同一世帯に18歳以上の者(就学者は除く)がいる場合は控除できないなど、母子・父子世帯には定義がある。

 

・就学者のいる世帯(就学者1人につき)

例えば私立の大学学部に自宅外通学する者が世帯に一人いる場合、1,440,000円控除できる。

 

 

2-4-3 収入基準額

 

 

2-4-5 家計評価額の計算例

要するに、

給与所得 < 控除額+収入基準額

になっていればOK。特別控除額と収入基準額は収入によって変わらないのでまずはこちらを基準に考えるとわかりやすいです。

 

ケース1:母子2人世帯(もしくは父子2人世帯)、自宅通学、新入学者

特別控除額 = 280,000円 + 490,000円 = 770,000円
収入基準額 = 1680,000円
控除額合計 = 2,450,000円

総所得金額がこれを下回ればOK。あとは収入によって控除される額が変わるので、収入ごとに考えてみる。

・収入が200万以下の場合はもれなく基準をクリアしてるので授業料減免の対象になる

 

上記の給与所得の計算方法と控除額を用いて

所得 = 収入 ー (収入×0.3 + 62万円)= 収入×0.7 ー 62万円

収入×0.7 ー 62万円 < 245万円

これを解くと

収入 < 438.6万円

つまり、母子(父子)2人世帯で自宅通学者、新入学生の場合、母親(父親)の収入が438万円以下であれば家計の基準はクリア。

 

ケース2:母子2人世帯(もしくは父子2人世帯)、自宅外通学、新入学者

特別控除額 = 720,000円 + 490,000円
収入基準額 = 1680,000円
控除額合計 = 2,890,000円

・収入が200万以下はもれなく基準をクリアしてるので授業料減免の対象になる。

ケース1と同様に計算すると、

収入×0.7 ー 62万円 < 289万円
収入 < 501.4万円

つまり、収入が501万円以下であれば家計基準はクリア。

 

ケース3:母子3人世帯、自宅通学の私立大学生の兄弟姉妹が一人いる、自宅通学

特別控除額 = 280,000円 + 1,010,000円 = 1,290,000円
収入基準額 = 1900,000円
控除額合計 = 3,190,000円

・収入が200万以下はもれなく基準をクリアしてるので授業料減免の対象になる。

ケース1と同様に計算すると、

収入×0.7 ー 62万円 < 319万円
収入 < 544.3万円

つまり、収入が544万円以下であれば家計基準はクリア。

 

ケース4:父母4人世帯(父母のどちらかのみ給与所得がある)、自宅通学の私立大学生の兄弟姉妹が一人いる、自宅通学

特別控除額 = 280,000円 + 1,010,000円 = 1,290,000円
収入基準額 = 2,030,000円
控除額合計 = 3,320,000円

・収入が200万以下はもれなく基準をクリアしてるので授業料減免の対象になる

ケース1と同様に計算すると、

収入×0.7 ー 62万円 < 332万円
収入 < 562.9万円

つまり、収入が562万円以下であれば家計基準はクリア。

計算してみると意外と基準がゆるい気がしますね。これなら誰でも気軽に申請できるんじゃないでしょうか。

 

3 入学料の免除・徴収猶予

授業料だけではなく入学料の免除制度もあります。以下の条件のいずれかに該当する人は入学料(282,000円)が免除または徴収が猶予されます。

・学業優秀と認められる人で、経済的理由により入学料の納付が困難である人
・入学前の1年以内において、申請者の学費を主に負担している人が死亡し、入学料の納付が困難である人
・入学前の1年以内において、申請者または学費負担者が風水害等の災害を受け、入学料の納付が困難である人
・その他、やむを得ない事情がある人

・申請書の配布期間、配布場所、申請期間は学部などによって異なるので注意。

家計基準は授業料減免制度と同じです。おそらく学力基準も同じです。

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