シリーズ第7回 プロ講師が実践する個別指導の指導方法 大学受験生編 「4章 自学レベルを上げる方法 その2」

4.3 質問レベルを上げる

学力を上げるには質問レベルを上げるといいです。まともな講師であれば、正しく質問されれば、正しく答えることができるはずです。逆に言えば「問いがズレていると、答えもズレる」ことになります。

学力が高い人は総じてちゃんと質問ができます。

4.3.1 4段階の質問レベル

以下に、わたしが考えた質問レベルの分類を示します。

レベル0
そもそも質問しない。できない。

レベル1
「この問題がわからなかった」というレベル。具体的にどこがわからなかったかを講師に伝えられないレベル

レベル2
「解説のここまではわかったけど、ここがわからない」と具体的に説明できるレベル

レベル3
問題を解けたか、解説がわかったかに関わらず、疑問に思ったことを質問できるレベル

受験生としては最低限レベル2の状態になってもらいたいですね。そうなるように指導をしましょう(次の項目を参照)。レベル3の状態はかなり学力が高いのでほとんどの人は関係ないかもしれません。

4.3.2 質問レベルの上げ方

質問の仕方を生徒のレベルに応じて教えましょう。

レベル0→レベル1
「次回は、問題解いてわからなかったところに印つけてこよう」と言えばOK。これで質問する問題を忘れないで済みます。

レベル1→レベル2
レベル1に上がったら、じゃあ次は「解説読んで、”ここまではわかったけど、ここがわからない”みたいに質問できるようにしておこう」と伝えればOK。

レベル2→レベル3
レベル3に上げたければ、「解けたけど質問でもいいし、解説読んで理解できたけど質問、でもいいので、とにかく気になったことはなんでも聞いていいよ」と伝えればOK。学力とモチベが高い生徒はこれで勝手にレベル3の質問をするようになるが、そうでない生徒をどうしてもレベル3に上げたい場合は追加で、「必ず一つ、そういう質問を用意しておくこと」と付け加えればOK。

レベル2までは誰でも簡単に上がります。一回の指導でもレベル0からレベル2に上がる人も少なくありません。

4.3.3 生徒から質問を引き出すマジックワード

「質問しよう」と言ってもなかなかできない生徒もいます。そういうときはこう言ってみましょう。

「何か気になることある?」

この言葉はかなり有効です。よく「理解できないところある?」とか「質問ある?」とか「OK?」などのような聞き方をすることがあると思いますが、これだと質問できない人がいます。

「質問=できない=よくない」

と植えつけられている人はたくさんいます。「こんなこと質問するのは恥ずかしい」と考えている人も多いです。

講師は「どんな些細なことでも喜んで答えますよ」という空気を演出しなければいけません。そうでなければいつまでたっても質問できない、質問レベルは上がらないでしょう。

4.4 説明レベルを上げる

生徒に「なんか質問ある?」と聞いても「ない」と答えることも多いですが、これは本当に質問がない場合と、質問を思いつかない、あるいは質問を考える努力をしてこなかった場合があります。

なので生徒が「質問ない」と答えたからと言って安易に「おおそうか、ちゃんと勉強したんだな」と思わないこと。

前回までの内容など、適当に問題をピックアップして「じゃあ、この問題解いてみて」とまずは解かせ、その後で「じゃあ、どうやって解いたか説明してみて」と説明させてみるといいでしょう。

こうすることで、そもそも解けるレベルにいるのかをチェックし、さらに理解できているのかもチェックできます。

4.4.1 説明レベルの上げ方

説明と言っても色んな説明をする人がいるので、どういう説明をしていれば「こいつ、デキるっ!」と判断できるかわかりにくいです。

以下に、私が生徒の説明を聞くときにチェックすることを挙げておきます。

①論理的かどうか
②解法のステップが明確になっているか
③わからないところ、疑問点が明確になっているか

①について

本番で問題を解けるようになるには、日頃の勉強で得た知識を本番で再現できなければいけません。そのためには「こういう風に考えれば毎回解ける!」という思考順序が必要です。もちろん単純に覚えるだけの知識とのバランスを考えなければいけません。「ここは論理的に説明できないといけないところ」という部分は必ずチェックしましょう。

②について

その問題を解くにあたって、何をどういう順番で考えて解いたのかを説明できるかどうかをチェックしましょう。正しく理解できていれば1つのステップはその前のステップを起点として繋がっていくものになっているはずです(例が欲しい)。

③について

最初から完璧に理解できる人はいません。解けたとしても「ここってこういうことなのかな?」みたいな疑問が出てくることもあるはずです。そういう部分も説明させるようにしましょう。これは質問レベル2や3の内容と重複しますが、それだけ重要ということです。

説明レベルを上げるにはこれらの点について生徒に伝えておく必要があります。解くに②は重要ですが、これは講師の力を試される部分でもあります。講師自身が論理的に考え、ステップを最小単位まで分解でき、かつ、生徒の学力に合わせてどのステップを省略するかを瞬時に判断できるようにしましょう。

4.4.2 解法ステップの例

これについては過去に書いた学力が低い人へ指導するときの5つのポイントを参考にしてください。

4.5 ノートレベルを上げる

学力とノートのわかりやすさには相関関係がある(と思う)ので、ノート指導はやったほうがいいと思います。ただ、経験上、ノートの綺麗さは学力と関係ないように思います。

重要なのは、

①ノートの位置付けを教えること
②理解しやすい構成を教える

4.5.1 「写す」のはやめよう

多くの生徒はノートを「板書を写すもの」「提出するために書くもの」という認識しかしてないので、まずこの意識を変えさせましょう。

写すだけというのは時間の無駄になる可能性が高いですが、英語や国語など言語系の場合、書くことがそもそもトレーニングになるものもあるので一概には言えません。

例えば、英語の場合、最初のうちは英文を写すだけでもけっこう効果があったりします。実際、私はこれを生徒にやらせることがあります。英語ができないと言っている人は、単純に読む量が少ない、書く量が少ないだけのことが多々あります。

ノートは「理解するためのもの」「より理解しやすくするためのもの」であることを教えるようにしましょう。特に、理系科目はそうです。これは自学効果にも影響します。ノートに解法や考え方、ポイントが整理されていれば自学していてわからなかったときの参考になります。

いずれにせよ、授業中に板書を写すのはやめたほうがいいです。授業中はなるべく指導者の解説を聞き、問題を解くことに集中したほうがいいです。

4.5.2 ノートは演習用と整理用を使い分ける

ただ問題を解くだけ、英文を写すだけのような用途なら、綺麗に書く、細かく書く必要はありません。逆に整理用は辞書的な使い方をするので、多少は綺麗に書いたほうがいいでしょう。

演習用のノートはただ問題を解いたりするためだけに使いましょう。自分で見てわかるレベルであればどんだけ汚くてもOKです。なんなら、ノートではなくいらないプリントの裏とかでもいいと思います。

整理用ノートは演習後に使いましょう。

一般的にノートは板書を写すタイミングで使いますが、これは非常に効率が悪いです。まずは演習し、つまづいたところ、理解しにくかったところ、などネックになった部分のみをノートに整理した方が圧倒的に効率がいいです。そもそも講師や学校の先生が解説することの多くは教科書やテキストに書いてあります。それをわざわざ写す意味がありません。また、板書を写した内容の中には、すぐに理解し頭に入るものも含まれているはずです。そして、それらは演習して見ればわかります。逆に言えば、演習しなければどこがポイントなのかはわかりません。その段階でノートを書くのは無駄ですね。

4.6 ハードワークできるか

どれだけ頭のいい人でもある程度の勉強時間がなければ大学入試をクリアできる学力は身につきません。頭が悪いと自覚してる人ならなおさらです。

「どうやったら合格できますか?」

という質問をよく受けますが、それに対する答えは「とにかく勉強しろ」です。

ハードワークできているかをチェックするには以下の項目をチェックすると良いと思います。

①「どのくらい勉強した?」と聞く
②「勉強方法について何か聞きたいことある?」と聞く

これだけです。

①について

ハードワークできてない人は自信なさげに答えるので、その様子を見ればハードワークできているかどうかはすぐわかるります。ハードワークできている人は自信を持って答えます。さらにそれが日常化している人は、「まぁふつうに〇〇時間くらい」みたいな感じであっさり答えますね。

②について

ハードワークしていると自分の勉強方法について疑問に思うことが少なからず出てきます。こう聞いて何も答えない場合、ハードワークできてないか、何も考えてないかのどちらかです。前述のように自学スキルを高めることを意識させていれば必ず勉強方法に関する質問は自然と出てきます。逆に、出てこない場合、講師の指導に問題があると考えましょう。

4.7 模試をうまく使える

模試もうまく使えば学力を上げるチャンスになります。なかなか学力が上がらない人は模試を軽視していることがありますね。模試を受けるにあたっての注意点をまとめておきます。

①判定校は毎回同じ大学学部学科を書く
②これまで勉強したことがどれだけできているか確認する
③模試直前に勉強したことがどれだけできているか確認する
④模試直前はやる内容を2段階の優先度をつけて勉強する

①について

毎回違う大学や学部を書くと判定、偏差値、順位などが比較できなくなるので、基本的には毎回同じにしましょう。

②について

自分の勉強がうまくいっているかは、判定や偏差値、順位など相対的な指標で判断しないほうが良いです。それらはさまざまな条件で変動するので判断が難しいです。一方で、どの問題が解けて、どの問題が解けてないかは、他の受験者の結果に関係ないので、絶対的な指標として使えます。直前の判定がE判定でも合格する人は合格します。

③について

これは復習のタイミングのところでも書きましたが、模試に向けての勉強はやったほうが良いと思います。理由は「刺激になる」し「良い復習のタイミングになる」からです。ずっと同じように勉強してると飽きるので、模試のタイミングで「本番直前のつもりで勉強してみ」と言ってあげると効果的です。また、ある程度プレッシャーがある状態で復習した方が真剣になるので効果的です。