シリーズ第5回 プロ講師が実践する個別指導の指導方法 大学受験生編 「3章 指導の基本」

3章 指導の基本

初回の指導は、生徒との距離感を縮めること、生徒の現状を把握すること、素早くスタートを切ること、を意識することが重要です。

第2章に書いてあることができれば、指導の第1段階はクリアです。2回目以降はもう少しざっくりとした指導の仕方でOKなので精神的に少し楽になります。

一方で、生徒の力量を測り、ポテンシャルを引き出すための指導を継続的にしていかなければいけないので、より高度なスキルが必要です。

生徒の動きに常に目を配り改善点を見つけていきましょう。

3.1 指導の基本は質問対応

個別指導の基本的なやり方は質問対応です。すでに書いたようにあらかじめ決められたカリキュラムで進めるのは無理があります。生徒の性格、現時点での学力、やる気、モチベーション、などが全て正確に把握できているならそれでも構いませんが、99%の指導はそうではありません。

予備校などの集団指導では、生徒に焦点を当てるのではなく、ゴールに焦点を当ててカリキュラムが組まれています。ですので思ったような成果を得られない人も出てきますし、そうでなければいけません。それが目的ですので。

個別指導はそれとは逆で、個々の生徒に合った指導をすることが目的ですが、それを文字通りできているサービスはほとんどありません。多くは講師の裁量に任せられています。言い方を変えれば、それぞれの講師が適当に教えているだけです。

中には、きっちりとカリキュラムを組んでそれ通りに進める講師もいます。それではいくらやっても成果は出ません。運良くハマればいいですけどね。

個別指導の講師は、毎回生徒が持ってくる質問や課題、不安などに臨機応変に対応するスキルが求められます。少なくともプロであればそうでなければいけません。

質問対応型の指導を可能にするためには3つのシンプルなルールにしたがって指導しましょう。

3.2 3つのルール

まず、ほとんどの生徒は高校内容をほぼ1からやり直す必要があります。第1章の学力チェックはどちらかというと、その前のレベル(つまり中学内容)からやりなおさなければいけないかどうかをチェックするためにやると思ってください。

2回目以降は次の3つのシンプルなルールに従ってテキストを最初から進めて行きましょう。

ルール1:まずは自分でやってみる
ルール2:授業は質問対応
ルール3:自己解決できるレベルにする

高校内容をやり直すに当たって、1から全てを解説していくのは時間がかかりすぎます。そして、すでにわかっているところを解説してしまうこともあるので時間の無駄になります。

自分でやってみてわからないところだけを解説していけば効率よく指導できます。

もちろんこの方法は、生徒自身がちゃんと勉強することと質問できることが前提になっています。指導スタート時点ではその2点についてのレベルは低いと思いますが、指導すればレベルは上がっていきます。

なので、講師は「科目指導をする」というよりも「生徒の自学スキルを上げる」ことを意識して指導しましょう。もちろん科目指導をちゃんとやるのは前提ですが。

講義形式で進める方法もありますが、これをやらない理由もちゃんとあります。

まず個別指導に来る人は講義形式に合わない人が多いです。学校の授業に合わない、集団指導に合わない、から個別指導を選んでいると考えましょう。また、講義形式は自学スキルが高い人じゃないと成果が出ません。講義で扱った内容の隙間は自分で埋めなければいけないからです。

なので個別指導での講義形式はうまくいかない可能性が高いです。

それよりも毎回の指導、指導中に臨機応変に対処する方が指導効果は高まります。これができない講師が実は多くて、カリキュラム通りにしか進められず、指導効果が出ないこともよくあります。

ルール3についてはけっこう見落としがちですが、毎回の指導は自学できるレベルにして終わるということを意識しましょう。質問してきた問題の解説などをどこまでやるかはこの感覚をベースにすると良いと思います。

もちろん、理解するのが難しそうな内容はあえて保留として先に進むことも重要です。