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メンタルを強く保ち大学受験勉強を最後までやりきる方法

大学受験生が抱える最大の課題といえばメンタルです。この記事では受験勉強を最後までやり切るための方法を、私の指導経験をもとに解説したいと思います。大学受験生の方はぜひ読んで参考にしてみてください。

 

私はオンラインで学生(主に中高生)に勉強を教えているんですが、そういった仕事柄、大学受験生からの相談を受けることがよくあります。

相談を受けるうちに大学受験生が受験勉強するにあたって最も重要なことがわかってきました。それは、どんなテキストを使うかとかどんな勉強方法をするかではなく、自分自身とどう向き合うかということです。

多くの受験生は受験に対して大きな不安をもっています。その不安とうまく付き合うことができるかが、受験が成功するかどうかの最大のカギとなります。

 

よくある相談

大学受験生からの相談はその時期によって内容が大きく異なります。例えば受験勉強開始直後の場合はこんな感じです。

・どんな教材を使ったらいいか
・どんな勉強方法をしたらいいか
・どの科目から勉強すればいいか
・どの予備校がいいか
・どのくらいのペースで進めればいいか
・受験校はどうしたらいいか

などなど、

多くの大学受験生を指導してきた私としてはこれらが本質的には重要ではないことを知っています。もちろんある程度、「こうした方がいい」というのはありますが、その枠に収まっていればどのやり方でも大差はないんですよね。

でも受験生は「正解」を知りたがります。正解を知ることで、初めて経験する大学受験勉強への不安を取り除こうとしているんです。

 

本当は自分で考えて自分に合ったものを見極めること自体が必要な力のはずですが、ほとんどの受験生にはそれができません。なぜなら、そういう教育を受けてきたからです。

幼い頃から「こうするのが正しい」「だからこうしなさい」と植えつけられてきたからです。一種の呪いのようなもんです。

言ってみれば私はその呪いを解く呪術師のような仕事をしてるわけですね。

 

重要ではないと言っておきながら、私はこれらの相談には丁寧に答えるようにしています。それらの個別の相談の答え(例えば「〇〇というテキストを使うといいよ」)そのものは重要ではないですが、その相談に真剣に答えることには意味があります。

受験勉強で最も重要なのは自分とどう向き合うか、不安とどう向き合うかです。相談にちゃんと答えることで受験生は「本質的に重要ではないことへの不安」を解消することができるからです。

 

精神が不安定な状態だと正常な判断ができなくなります。どんなテキストがいいのか、どんな勉強方法がいいのか、などの判断も誤る可能性が高くなります。

まずは、勉強に集中できる状態へ持って行くことが最優先です。ある程度勉強をすると、自分に足りないものが見えてきます。そうなって改めて、どんなテキストがいいのか、どんな勉強方法がいいのか、などを考えることで正しい選択ができるようになります。

私はこれを大学受験勉強の第1段階と呼んでいます。

 

夏終わり〜年末にかけては相談内容が変わります。

・勉強に身が入らない
・伸び悩んでる
・受験校を下げようか迷っている

この時期の相談は言葉こそ違えどまとめてしまえば「不安でしょうがない」ということなんですよね。

これら以外にも上記のような受験勉強開始直後によくある相談もありますが、それはつまり第1段階からまだ抜け出せていないことを意味します。そうじゃない場合もあります。それは聞き方でわかります。

 

例えば、「どんなテキストを使えばいいか」に関してですが、第1段階の人は非常にざっくりとした聞き方をしてきます。

「理系なんですが数学は何使えばいいですか?」

これでは答えようがないんですが、そこはこちらから質問をして掘り下げ、その時点で最も適したテキストを教えます。

 

第1段階をクリアしている人は聞き方が具体的になります。

「今まで〇〇を使ってたんですが、それだと〜〜がいまいち理解できないんですが、そういう場合に良いテキストはありますか?」

〇〇はテキスト名、〜〜は単元名やテキスト全体の構成に起因する解説の不備を指します。

こういう質問の仕方なら答えられます。第1段階をクリアするにはある程度の経験値が必要になるので受験勉強開始直後は前者のような質問になってもしょうがありません。

 

話を戻しますが、この時期に受ける相談のほとんどは異口同音にメンタル的な問題に関するものです。しかもほとんどの人は自分がメンタル的な問題を抱えていることに気づいていないか、気づいていてもそれを真正面から相談できずにいます。

本音というのは言いにくいもの(これも呪い)なので当たり前なんですよね。それをしっかりサポートするのが私の仕事です。

 

大学に行く意味がないのではないかと思ってしまう理由

 

相談を受けているとたまにこういうことを言う人もいます。

「大学に行く意味がないのではと考えています。」

これは高校3年になりたての進路相談のときか夏休み後半ないし夏休み終わりくらいに出てきやすい内容です。

 

時期は違いますがこう思う人は実は同じメンタル状態にいるのではないかと思います。

似たようなメンタル状態を表す言葉としては「こんな勉強、将来使わないじゃん」というものがあります。ただし、同じ言葉でも小・中学生が言うのと高校生が言うのは意味が違うと私は思っています。

 

小・中学生はなんとなく大人へ反抗したいという気持ちからそう言ってると思いますが、高校生ともなるとそういう言動を恥ずかしいと思い始める(けど代替行動がわからない)時期なので、そういった意味合いとは少し異なると思います。高校生の場合は「大学に行く意味がない」と同じメンタル状態だと考えられます。

さらに、本気で何かに取り組むのをかっこ悪いと思ってしまうのも同じ心理状態だと考えられます。

それらをただ「ダメな言動だ」と切り捨てるのは簡単ですが、それでは指導者としてはあまりにも稚拙です。なので、もう少し掘り下げないといけません。

 

モラトリアム症候群

 

これは私が勝手につけた名称ですが、上記のようなメンタル状態は総じてこの状態だと考えています。

「大学に行く意味がない」と思うのは、進路に対する不安があるからです。

 

高校生もバカじゃないので、進路として大学進学か専門学校か就職かくらいの選択肢があることは知っています。そして、多くの高校生にとってそれらの選択肢から一つを選ぶことはとても難しいことです。

中学受験や高校受験のときはそれ以外の選択肢がない(ように本人には思える)ので、特に迷うことはありません。あるとしたらどこの学校を受験するかくらいです。

そういった不安から逃れるために「大学に行く意味はない」という理由づけを半ば無意識に考え出すんだと思います。

 

モラトリアム症候群というのは「将来に対する不安を心理的に緩和するための言動」です。あくまでも私の考えですが。

モラトリアムというのはそもそも、「社会に出ることに対して不安で大学卒業を先延ばしにすること」などを指して使われる言葉ですが、そのモラトリアムは高校生でも起きていると思います。

大学生の場合は意図的に留年するなど先延ばしにできますが、高校生の場合なかなかそれはできません。選択肢としてはフリーターになるとか色々ありますが、周りの目を気にしすぎてできない人がほとんどでしょう。

だからこそ大きな心理的ストレスとなってのしかかるんですよね。

 

これは、それまでの人生における適切な経験を積んでこなかったツケとも言える一方で、教育システムがうまく機能してないとも言えます。社会から過保護に育てられすぎた結果とも言えます。

このモラトリアム症候群から抜け出す方法は非常に限られていると思います。その方法については他の心理状態について一通り説明してからにしたいと思います。

 

ベスト症候群

 

これも私が勝手にそう呼んでいるだけですが、高校生や大学受験生の相談を受けているとこの心理状態にある人がたくさんいます。

ベスト症候群というのは「何かをやろうとしたときに、それよりももっと良い方法や良いものがあるのではないかと思って、もともとやろうとしていたことができなくなる。より良い選択肢を探してしまう。」ことです。繰り返しになりますが、これはあくまでも私が勝手に考えたものです。

 

例えば、高校3年生が進路に迷うのはモラトリアム症候群以外にもこの心理状態にあるためと思われます。

「本当に大学に進学していいのか」
「自分には他にやりたいことがないのか」
「他にもっと良い進路があるかもしれない」
「自分に合ったことが他にあるかもしれない」

中高生は自分と同じくらいの年齢で成功している人や充実した人生を送っている人のニュースをテレビやネットで見聞きすることが多く、そのたびに心のどこかで彼らと自分を比較しているわけです。

そうなると自分の進路がごく当たり前のもので面白みがないものに感じられてきてしまい、「もっと良い選択肢があるはずだ」ということになります。

 

自分とは大きくかけ離れている成果を出している人を見て、純粋に「すごい!」と思う一方で、羨ましいとか「それに比べて自分は」という自己卑下するような心理も働きます。そして、そう思うこと自体も「そんなことを思う自分はなんてダメなんだ・・・」と思ってしまいがちです。

私はそう思うのは人間的だし、それ自体は自然で悪いことではないと思います。じゃあどうやって自分のレベルを上げるかを考えて実行することにエネルギーを使うことが重要だと思います。

ベスト症候群の解決方法についてものちほどまとめて書きます。

 

大学に行く理由はちゃんとしてないといけないのか

 

少し話題を変えます。

大学受験生からの相談には「大学に行く理由はちゃんとしてないと行けないないのか」というものも多いです。

 

私の答えはNOです。

「〇〇を学びたい!」とか「〇〇をやりたい!」といった目的がなく、なんとなく大学に行くのもアリだと思います。

大学はいろんな人がいるし活動の範囲も広がります。行動次第では成長するチャンスもたくさんある環境です。

もちろん目的があった方が良いのは間違いないですが、それにとらわれすぎて取って付けたような目的意識で大学に行くと逆に良くないです。

 

目的は考えるだけでは見つからないものです。色んなことを経験しはじめて気づくものだと思います。

高校生くらいだとその経験値が不足している人が多く大した理由もなく大学に行く人がいるのが自然でしょう。高校3年生になり真剣に進路のことを考えるようになってはじめてそのことに気づく人も多いはずです。

気づかずに、もしくは気づかないふりをして卒業して行く人も少なくないです。どのくらいの期間あればその目的が見つかるのかは人によって異なるはずです。

 

ここでもモラトリアム症候群やベスト症候群的な心理が働きます。

進路について真剣に考えれば考えるほど、自分の小ささが見えてきて嫌になってきます。ちゃんとした目的が無いので、他にもっと良い選択肢があるんじゃないかと思ってしまいます。

やはり、これ自体も当たり前のことで、これ自体は良いこととか悪いこととか考えるものではないと私は思います。

 

こういった相談に以前は「ごちゃごちゃ考えずにやれば良いじゃん!」と言っていました。

今でもその考え自体は変わってないですが伝え方は変えています。ざっくりそう言っても納得してくれる人が少ないんですよね。なので、ここに書いてあるようなことを説明し納得してもらえるようにしています。

説明すると多くの人は最終的にある結論に達し前向きな気持ちになってくれることが多いです。

 

浪人することをコンプレックスに思ってもいい

 

これもよくある相談なんですが、浪人していることをコンプレックスに感じていてそのために勉強に集中できない人がいます。

そして、先ほどと同様にコンプレックスに思っていること自体を良くないことだと思っている人が多いです。

こう考えること自体を変えることはなかなか難しいですが、それでも私は「浪人することをコンプレックスに思っても良い」と伝えることにしています。その上で浪人生のメリットを考えるようにとも伝えています。

 

メリットはいくつかあると思いますが、例えばこんなメリットがあります。一度受験勉強で失敗した経験があり、それをしっかり分析すれば次の成功確率は上がるはずです。でも、自分としっかり向き合わなければそれも無駄になってしまいます。それどころかコンプレックスをこじらせていき悪い方向へ行ってしまうこともあります。

浪人していることにコンプレックスがある人は、浪人生には浪人生の強みがあるということを覚えておいて欲しいと思います。

 

ブレイクポイントジレンマ

 

さて、話を戻します。

モラトリアム症候群、ベスト症候群に加えてもう一つ私が勝手に名付けた現象があります。私はその現象をブレイクポイントジレンマと呼んでいます。

 

ブレイクポイントジレンマというのはどういうことかというと「何か今までに成し遂げたことがないことを達成しようとするときに、今までの失敗経験がボトルネックとなり達成できなくなること」です。

これまで達成したことがないことをクリアしようとするときに、どうすればクリアできるかをあれこれ考え考えるんだけど、結局うまくいかないことがある。結局、それをクリアするために必要なことはそれをクリアしてみて初めて気づくということです。

その何かをクリアするための「コツ」のようなものはそれをクリアしてみないとわからないということですね。

 

私はこれがモラトリアム症候群、ベスト症候群の唯一の解決方法に関係あると考えています。

その解決方法は、「ごちゃごちゃ考えずにとりあえずやってみろ」ということなんですよね。なぜならクリアしてみないとわからないですからね。

この説明自体もその何かをクリアしてみないと実のところは本当の意味では理解できないことなのではないかと思います。

 

他の言葉では「勝者のメンタリティ」がこれに近いかもしれません。勝者のメンタリティもたぶん勝者にならないとわからないものですからね。勝つまではどうすれば勝者のメンタリティが身につくかをいくら考えてもわからないはずです。

 

受験勉強でこのブレイクポイントジレンマを克服しうまくいく人とそうでない人の差はなんでしょうか。

その差が生まれる一つの理由は経験値の差だと思います。これまでの人生において、成功体験をどれだけ積んできているかということです。

将来のことを現実味を帯びて考えないような時期、つまり小学生とか中学生、それより前の時期に何かをやって上手くいったという経験がその後に直面するブレイクポイントジレンマをうまくクリアできるかどうかを左右すると思います。

成功体験を多く経験している人は何かを始める時の不安が他の人より少ない傾向があるので、躊躇なく勉強をやり抜くことができるのではないかと思います。

 

過去の経験値の多寡が要因だと言ってしまうと、受験生にはどうしようもないので解決策にはなりません。

もう一度言いますが、受験に対して不安な気持ちになりそこから逃げようとする心理に勝つためには、結局のところ最後まで突っ走るしかないんです。

ただそれを言うだけだと腹落ちせず行動に移せないと思いますが、ここに書いたことを理解すれば少しは前に進む気持ちが出てくると思います。私はそう思ってこれを書いているので、そう感じてくれる人が1人でもいてくれれば幸いです。

 

さいごに

 

よくある受験生の相談内容から始まり、その相談内容の深層にある受験生の心理を私なりに説明しました。そして、そのある意味で弱い心とそれに対する向き合い方、最終的な解決方法まで書きました。

最終的な解決方法だけ見ると「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、「なぜ受験勉強を本気でやりきれなかったのか」というスタート地点から「ごちゃごちゃ考えずにやればいい」という結論の間には大きなギャップがあり、そのギャップを埋めることで納得して前に進めるようになると思います。

本来、そのギャップはその何かをクリアしてみないとわからないことだと思いますし、言語化するのが難しいものではないかと思います。

その内容を言語化をすることで少しでも受験生のサポートになればと思い、これを書きました。

 

私がここに書いたことはアントニオ猪木が言うところの「迷わず行けよ、行けばわかるさ」、スティーブ・ジョブズの「Stay foolish, stay hungry」、NIKEのコピー「Just do it !」と本質的には同じなんじゃないかと思います。

 

みなさん、「ごちゃごちゃ考えずにとりあえずやってみましょう!」

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