シリーズ第2回 プロ講師が実践する個別指導の指導方法 大学受験生編 ver.2017 「2章 初回指導 その1」

第2回〜第3回は初回指導についてですが、2章だけでもけっこう長くなったので3回に分けました。今回はその1です。

2章 初回指導

個別指導の初回指導(体験指導ではない)では、次のことをやりましょう。

①志望校チェック
②現在の学力をチェック
③ポテンシャルをチェック
④計画を立てる
⑤次回までにやることを指示

この5点を抑えればそのあとスムーズに指導ができるようになります。逆に、これらをやらないと、スタート地点もゴール地点も装備品もわからないままジャングルの中を突き進むことになります。

 

私はこの順番でやっています。

①「志望校どこなん?」
②「じゃあ、学力チェックしようか」(同時に③も行う)
④「じゃあ次は計画ね。何をどのくらいいつまでにやればいいか分かれば、合格したようなもんだからね」
⑤「じゃあ、その計画を踏まえて、次回までに何をやったら良いと思う?」

指導中の私の言葉を抜粋すればこんな感じです。私はこの順序でやると一番スムーズに指導を進められると感じています。

2.1 志望校(受験校)をチェック

これが最も重要です。これがわからないとどうしようもないんだけど、明確になってない生徒も多い。明確になってない場合は、受験校を詰めるためにどうしたらいいかを指導するところからはじめましょう(詳しくは「進路指導」の項目参照)。

志望校でチェックすべきはどこを受けようとしてるかというよりも、志望校が明確になってるかを確認するという意味合いが強いです。

 

2.1.1 志望校が明確になってない場合

志望校が明確になってない場合、「とりあえず次回までにこれをやろう!」と生徒に手を動かしてもらうことを最優先しましょう。

志望校が明確になってない生徒は勉強に集中できないので、学習効果は著しく低くなります。早めに志望校を決めることで合格可能性を高めることができますがそういう人は少数派です。

多くの場合、なんとなく志望校が決まっている、例えば、「とりあえず文系MARCH以上」みたいな状態です。こういう場合は、無理に志望校を決めるのではなく、次のように対応するといいでしょう。

「OK。じゃあMARCHだと、最低でもこのくらいはやらないと受からないので、次回までにまずこれをやっておこう!」

 

一口にMARCHと言っても微妙にレベルは違いますし、それ以上に傾向も異なるので何をやればいいのか一概には言えないですが、そこは突っ込まずにまずは手を動かしてもらうことを優先しましょう。

いずれにせよそのあたりの大学に合格するための学力には程遠いので、スタート直後にやることは変わりませんからね。早めのスタートをかけることを最優先しましょう。

こういうタイプは志望校を決めるのに時間がかかります。特にやりたいこともないことが多いので、決まらないんですよね。そのあたりは勉強を進めつつ指導していくことが重要です。

 

2.1.2 志望校が明確になっている場合

志望校が明確になっている場合は、特にやることはないんですが、あえてやるとしたら次のことが挙げられます。

「なぜその志望校なのかを聞く」

これをやる理由は、生徒がどれだけその大学に行きたいと思っているかを確認するためです。その大学への情熱があればあるほど合格する可能性は高まります。逆に、情熱がないと勉強に集中できないので合格する可能性は低くなります。

 

このとき注意すべきは、その理由はどうでもいいということです。「〇〇を勉強したい!」でもいいし、「とりあえず〇〇大学へ行きたい!」でもいいんです。

よく、適当に大学を選ぶとよくない、みたいな意見を聞きますが、これはたぶん間違ってます。適当に大学を選んでも、大学生活を満喫できる人もいればそうでない人もいます。重要なのは熱意です。どんな理由であれ「ここに行きたい!」という熱意がある人は、その大学に入ったあとで満喫できる可能性が高いです。

 

2.2 現在の学力をチェック

2.2.1 チェックテストでは不十分

学力チェックとしてチェックテストをやらせると思いますが、私はこれだと不十分だと思います。

そのようなチェックテストは、部分的に抽出された問題を「正答できるかどうか」だけをチェックしているので、生徒が何を考えているのか、ちゃんと理解しているのか、自己評価と実力のギャップはどのくらいか、などの指導する上で欠かせない情報が得られません。

しかも、個別指導を利用する生徒は基本的に学力が低いので、結局1からやり直すことになることが圧倒的に多いです。ということはそういうチェックテストは実はあまり意味がないといんじゃないかと思います。

 

実際、チェックテストしてもそのあとで1.3.2で書いたことはやるし、指導していて結局そっちの情報の方が使えることがわかりますからね。

1からやり直す理由は他にもあります。

それは、生徒自身が「どこが抜けていてどこがOKか」を把握してないからです。

合格するには「ここはOK」「ここはまだ弱い」という判断ができるようになるまでは講師のサポートが必要です。そして、最初のうちはそれを講師が判断してあげなければいけません。

 

なにせ初めて経験することなので、どのくらいの理解度ならOKなのか、どのくらいのスピードならOKなのか、どのくらいの精度ならOKなのかということは生徒にはわかりませんからね。

浪人生でもほぼ同じことが言えます。浪人生は自学レベルを上げられず、ポテンシャルを引き出せなかったからこそ、志望校に合格できず浪人してるはずです。スタート時点での知識は現役生よりも多いかもしれませんが、それは一概に学力が高いとは言えません。

 

2.2.2 現在の学力をチェックするより良い方法

ということで、チェックテストをやる代わりに以下のことをやるといいでしょう。少しレベルは高いですが、講師はぜひ身につけてほしいスキルです。

①テキストの問題に目を通させて3段階(OK、微妙、無理)で自己評価させる
②自己評価「OK」の問題を1〜2問解かせる
③説明させる(暗記型かどうかのチェック)

 

①について

2の準備としてやらせる。例えば青チャ1Aの第1章、数と式の例題とその解説に一通り目を通してもらい、例題ごとに「OK」「微妙」「無理」で分類してもらいましょう。

 

②について

OKの問題をスラスラ解けていれば、自己評価と実力にギャップがないので、比較的スムーズに指導できるタイプと判断できます。スラスラ解けていなければ、自己評価 > 実力なので、プライドが高く、自分の評価を甘くするタイプと判断できます。この場合は、そういうタイプだと意識して指導しなければいけません。つまり、生徒の「わかる」「わかった」を鵜呑みにしてはいけないということですね。

 

③について

問題をどう解いたかを説明させましょう。解けたのに説明できない場合は、暗記してしまっている可能性があります。単純に説明できないということも考えられます。その辺りをより正確に把握するために、講師からその問題のポイントについて質問してみましょう。多くの生徒は説明するのに慣れていません。理解できているけど説明できないのか、理解できてないので説明できないのかを明確に把握しましょう。

ちなみに「微妙」「無理」の問題はこの時点で解かせなくていいです。そもそも、そのレベルは解説が必要な可能性が高いので解かせるだけ時間の無駄ですからね。

 

これをやると結果は次の2パターンに分かれます。

①このレベルということはどうやら最初からやり直した方が良さげだな
②自己解決できそうだから任せよう

 

①の場合は初回から科目指導開始です。1.3に進みましょう。

②の場合は次の章で同じことをしましょう。講師のサポートが必要なのはどこからかを見極めましょう。以下繰り返して、「この辺りからやり直す必要がありそうだ」という場所を見つけましょう。(だいたい二次関数のあたりからやり直すことになります。)

これら以外には、直近の模試の結果をチェックするのは当然やります。それでざっくりと現在の学力はわかりますし、どのくらい勉強してないかがわかりますからね。

 

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